公立中高一貫校国語文章問題の出典と傾向─2015年度版

東京都にある公立中高一貫校では適性検査Ⅰで、国語分野の問題が出題されます。

主に出題文を読解し要約させたり、感想や与えられたテーマに沿って作文を書く問題となっています。
語句や漢字といった単純問題がほぼ無いのが、私立校との大きな違いです。

また、東京都教育委員会の指導の元で作成される共通問題と、学校独自で作成する問題に分かれます。

以下、2015年度に出題された文章問題の出典と、各学校の違いについて見てみましょう。

スポンサードリンク

            

共通問題:小石川、武蔵、富士、大泉


上記4校は共通問題でした。

文章1は木下是雄『理科系の作文技術』より

理科系の作文技術 (中公新書 (624))
木下 是雄
中央公論新社
売り上げランキング: 505


文章2は養老孟司『バカの壁のそのまた向こう』から「メッセージのメッセージ」より。

バカの壁のそのまた向こう
養老 孟司
かまくら春秋社
売り上げランキング: 267,953


両者とも理系の学者です。
物理学者の木下是雄氏は昨年2014年に亡くなられたのも影響しているのでしょうか。
出題された『理科系の作文技術』は1981年に出版され、もはや古典と言ってよいほど読まれている名著です。
解剖学者の養老孟司氏は2013年出版の『バカの壁のそのまた向こう』というエッセイ集の中のひとつから出題されました。「メッセージのメッセージ」は日本文藝家協会によるベスト・エッセイ2013にも選ばれています。

問題数は3つ。
1と2は要約問題で、3は課題文を踏まえた400字以上440字以内の作文でした。

両国高校附属中学校


文章1は茂木健一郎『茂木健一郎の脳がときめく言葉の魔法』より

茂木健一郎の脳がときめく言葉の魔法
茂木 健一郎
かんき出版
売り上げランキング: 36,255


文章2は小川仁志『絶対に幸せになれるたった10の条件』より

絶対幸せになれるたった10の条件
小川 仁志
教育評論社
売り上げランキング: 439,627


両者はメディアにもよく登場するので、ご存知の方も多いでしょう。
脳科学者の茂木健一郎氏の本は2014年に、哲学者の小川仁志氏の本は2013年に出版されています。
どちらも幸福論について分かりやすく書かれた書籍です。
ですが、問題自体は5つあり、区立九段と並んで最多です。

白鴎高校附属中学校


文章(資料)Aは福井謙一『学問の創造』より

学問の創造
学問の創造
posted with amazlet at 15.06.18
福井 謙一
佼成出版社
売り上げランキング: 500,800


文章(資料)Bは羽生善治『大局観 自分と闘って負けない心』より

大局観  自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
羽生 善治
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 28,105



Aの福井謙一氏は1981年にノーベル化学賞を受賞した化学者です。出題された本は1984年に出版されていますが、残念ながら現在絶版の模様です。
Bは将棋棋士の羽生善治氏によるもので、2011年に出版されています。白鴎らしい選出です。
問題数は3つでした。

桜修館中等教育


川崎洋編集『にんげんぴかぴか こどもの詩2』より作成

にんげんぴかぴか―こどもの詩〈2〉 (中公新書ラクレ)

中央公論新社
売り上げランキング: 584,214


無名の子供が書いた詩1篇から感想を書く、という最も難易度が高い問題だったと思います。
以前も書きましたが、かつて東京大学の国語問題であった金子みすゞの詩を彷彿させます。
詳細はこちらの記事を

三鷹中等教育学校


文章Aは俵万智「『ぞうさん』と私」より
文章Bは山崎充哲『タマゾン川 多摩川でいのちを考える』より

タマゾン川   多摩川でいのちを考える
山崎充哲
旬報社
売り上げランキング: 88,962


Aの俵万智氏は歌人で、『サラダ記念日』や『チョコレート革命』で有名です。
出典本は残念ながら見つかりませんでした。
Bの山崎充哲氏は魚類学者で自然環境活動もされています。
出題された本は2012年に出版されていおり、多摩川という身近にある川から環境問題を考えて欲しい、という出題者の意図が読み取れますね。
問題数は2つ。
その内ひとつは200字作文で、これも桜修館同様、かつての東大国語問題を連想します。

南多摩中等教育学校


森真一『ほんとはこわい「やさしさ社会」』による

ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書)
森 真一
筑摩書房
売り上げランキング: 182,987


森真一氏は社会学者で、出典は2008年に出版されています。
問題数は2つですが、指示語の考え方の違いについてと、意見作文を書くという、やや難し目な印象を抱きました。

立川国際中等教育学校


須賀敦子『塩一トンの読書』より

塩一トンの読書 (河出文庫)
須賀 敦子
河出書房新社
売り上げランキング: 136,399


須賀敦子氏はイタリア文学者でエッセイストです。
出典された本は2003年に出版され、2014年に文庫版が出ています。
問題数は3つで、そのうち2つが部分要約となっています。
作文は数ある条件をおさえての意見文を書くというものでした。

九段中等教育学校


文章Aは西林克彦『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』より(問題のため一部改編)

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)
西林 克彦
光文社
売り上げランキング: 8,609



文章Bは山鳥重『「わかる」とはどういうことか─認識の脳科学』より(問題のため一部改編)

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)
山鳥 重
筑摩書房
売り上げランキング: 24,821



文章Cは佐伯胖『「わかる」ということの意味』より(問題のため一部改編)

「わかる」ということの意味 新版 (子どもと教育)
佐伯 胖
岩波書店
売り上げランキング: 60,111


Aの西林克彦氏は教育心理学者で、出典は2005年に出版。
Bの山鳥重氏は脳科学者で、出典は2002年に出版。
Cの佐伯胖氏は認知心理学者。出典は1983年に出版され、新版が1995年に出ており、おそらく後者の方から出題されたと思います。
区立九段は3つの文章が出題されていますが、テーマは同じで文字数も適度に調整されています。
問題数は5つと両国と同じ数です。
穴埋め問題や言葉の意味を問うなど、私立校寄りな問題作りとなっていて、区立ならではの独自性が目立ちます。

配点が学校によって違う


配点の比率が学校によって違います。

共通問題の場合以下のようになっています。
  • 小石川(25%)
  • 武蔵 (25%)
  • 大泉 (20%)
  • 富士 (20%)

独自問題は以下ような比率です。
  • 白鴎  (30%)
  • 両国  (30%)
  • 桜修館 (20%)
  • 南多摩 (27%)
  • 三鷹  (30%)
  • 立川国際(30%)
  • 九段  (20%)

配点比率について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
こんなに違う!都内公立中高一貫校の選抜配点比較

評論文と理系学者の出典が目立つ


公立中高一貫校は年々理科系重視になっていると、このブログでも何度も書いていますが、上記のように国語分野の出題文でさえ理系学者による著書が大半を占めています。
純国語問題を出しているのは桜修館中等教育ぐらいです。
物語文は出題されず、桜修館以外すべて評論やエッセイとなっているのも特徴的ですね。

メインとなっている内容は、コミュニケーション論や科学・環境文明論、認識論といった感じでしょうか。
これは私立校も似た傾向で、その辺りは以下の記事で紹介しているのでご参考下さい。
国語力を高める!中学入試頻出ジャンル50冊
関連記事

スポンサードリンク


にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ
にほんブログ村
            

tag : 公立中高一貫校 適性検査 国語 小石川中等教育学校 立川国際中等教育学校 三鷹中等教育学校 南多摩中等教育学校 桜修館中等教育 九段中等教育学校 武蔵高校附属中学校

2015-06-18 19:59 : 国語対策 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

ブログ村

にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ

にほんブログ村 受験ブログ 中高一貫校受験へ

プロフィール

masa

Author:masa
息子と共に私自身も勉強して行きます!

Subscribe with Live Dwango Reader

検索フォーム

カウンター