中学生になったら読ませたい本―佐藤優『先生と私』

小学校生活で残すイベントは、卒業式ぐらいになってしまいました。
6年間、本当にあっという間です。
そして1ヶ月とちょっとしたら、中学生となります。

制服の採寸(サイズ合わせ)も地元中学校にて行われました。
息子は苦々しい顔で参加していましたが、これも経験のひとつです。

さて、中学生になったら読んで欲しい、オススメの本がたくさんあります。
その中でも、作家で元外務省主任分析官であった佐藤優氏による『先生と私』は本当にオススメな本なので、紹介したいと思います。

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佐藤優氏について


まず著者である佐藤優氏について軽く記しておきましょう。

1960年生まれの氏は、埼玉県立浦和高校を経て同志社大学神学部に進み、神学修士号を持っています。

大学院修了後、チェコの神学者フロマートカについて研究するためチェコスロバキアに留学しようと考えた氏ですが、当時は東西冷戦下。
共産圏に簡単に行ける時代ではありませんでした。
ですが、「外交官になればチェコスロバキアに行けるのではないか」と思いついた氏は、外務省にノンキャリアとして入省します。

しかし配属されたのは当時のソビエト連邦。
ですがこれも運命だったのでしょう、超大国ソビエトが崩壊してゆく中、数々の知識人や政治家と独自のコネクションを築き、貴重な体験をします。
3等書記官ながら、そのネットワークはキャリア組以上であったとも言われます。

その傍ら、モスクワ大学や東京大学などで神学などを講義し、神学系の翻訳書まで出版します。
そして帰国後には鈴木宗男氏らと共に北方領土問題解決に向け尽力します。

ですが、2002年に背任容疑で逮捕され、512日間勾留。
最高裁まで争うことになります。
結果は有罪でその結果、外務省を失職。
しかし、その顛末を綴った書籍を発表し作家として再出発し、現在に至ります。

『先生と私』に描かれる恵まれた学習環境


このように、特異な経歴の持ち主の佐藤氏ですが、その知識欲と執筆量はすさまじく、今やベストセラー作家の1人となっています。
その土台を築いた少年時代の15年間が、この『先生と私』に描かれています。

先生と私 (幻冬舎文庫)
佐藤 優
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この本にあるように、佐藤氏は非常に恵まれた環境で育ちました。
帯には「少年時代、私にはいつも『師』と呼べる人がいた」とありますが、まさしくその通り。

まず、ご両親。
甘やかすわけでもなく厳しくもなく、といった当時としてもごく一般的な家庭でした。
ですがご両親から受けた影響は測り知れなく、電気技師であったお父様からは理系知識やアマチュア無線、そして沖縄戦を経験しクリスチャンであったお母様からは神学と戦争について教えられます。
またこのお母様の兄である伯父さんが兵庫県議会議員で、そこでマルクス主義関係の哲学本に触れたそうです。

身内以外からは、塾の先生方と、通っていた牧師さんから大きな影響を受けます。

佐藤氏は自主的に「山田義塾」という進学塾に通い始めます。
この塾はスパルタ教育で知られていて入る前の佐藤少年は緊張していたそうですが、いざ入塾してみると、叱られることすらなかったそうで、魅力的で教え方の上手い先生たちに恵まれます。
途中、塾の経営をめぐるいざこざに巻き込まれたりもするのですが、それでも知的好奇心を満たす授業の連続で、読んでいても知欲が刺激されるほどです。

通っていた教会の牧師さんもまた素敵です。
佐藤氏が「洗礼を受けたい」と相談すると「もっといろいろ経験してからでも遅くない」と諭してくれたそうです(結果的に佐藤氏は大学時代に洗礼を受けます)。
他にもこの牧師さんは、仏教思想や古今東西の哲学にも通じており、よくお話をされ大きな影響を与えます。

県立浦和か、早稲田高等学院か


そんな順風満帆で、成績も塾内でトップになっていた中学3年生の佐藤少年は、進路に迷います。

塾の講師が早稲田卒だったこともあり、大学受験をせずに済む早稲田高等学院を第一志望とするのです。
それに対して、塾の先生は「浦和高校に進んで、大学受験を経験した方が良い」と真逆のことを言います。
その理由は2つありました。
1つは佐藤優少年の性格を考慮してのこと。
もう1つは、早稲田高等学院は偏差値的には県立浦和などと同じだが問題のレベルが極度に高く負担が大きいから。

後者の視点は、偏差値にとらわれるのではなく、問題の本質を見極めて志望校を選ぶ、ということを教えてくれますね。
現在の早稲田高等学院の問題レベルがどの程度か分かりませんが、今でも通用する見方と戦略ではないでしょうか。

さて、佐藤少年はそれでも早稲田に心惹かれつつ、県立浦和も併願することになるわけですが……。

読み返したくなる良書


以上、佐藤氏と『先生と私』についてざっと書いてみました。

他の佐藤氏の著作にも言えるのですが、この本は際立って面白く、まるで質の良い小説を読んでいる気分になりました。
スラスラと読める一方、メモを取りたくなる箇所もあったりして、何度も読み返したくなります。

早速わたしの子供に読ませてみたのですが、共感したり参考になるところが多くあったようです。
一方で、「意識高いなー」とも。
確かに中1で哲学書を読んだり、ドストエフスキーがどうたらと論じているのは、今や見られない光景になってしまいました。
でも確かに、当時からしても「意識が高い」と言えるでしょうが、それでも真摯純粋に学問と向き合う姿は良いものです。

この続刊で、高校時代を綴った『十五の夏』が『PoNTooN』という雑誌に連載されており、いずれ書籍化されるでしょう。
これも楽しみですね。

他に子供の教育に関して、井戸まさえ氏との共著である以下の本があります。

子どもの教養の育て方
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東洋経済新報社
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佐藤氏自身には子供はありませんが、外務省で教育係だったり現在も若い人に受験指導したりしているので、含蓄ある意見があり一読の価値があります。

また一気に時代は飛びますが、同志社大学時代について書かれた本もまた素晴らしいのです。

私のマルクス (文春文庫)
佐藤 優
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同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか (光文社新書)
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同志社大学神学部では、またさらに魅力的な知的空間で勉強に勤しみ、そして多くの師と友に出会います。
類は友を呼ぶというのはまさしくで、真摯に物事と向き合うとこんな素敵なことがあるのだなあ、とつい顔がほころんでしまいます。

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tag : 中学受験 佐藤優

2016-02-14 22:07 : 参考書 : コメント : 0 :
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